帝王切開はお産じゃないなんて言わないで。どんなお産でも、お産はみんな立派です。
昨夜グノシーのニュースを見ていたら、とてもショックな記事がありました。
2011年の統計で、5人に1人が帝王切開で出産しているというデータがあります。現在ではもっと増えているかもしれません。そして私もその1人、2年10ヶ月前に娘を帝王切開で出産しています。妊娠8ヶ月の頃からずっと逆子で、毎晩逆子体操をしていましたが、臨月に入るまで1度も戻ることがありませんでした。赤ちゃんの命を優先して37週の時に予定帝王切開することが決まり、陣痛が起きてしまうと危険なため、38週に入ってすぐに手術となりました。本来なら出産予定日まで2週間あった時間がなくなってしまい、バタバタしたのを覚えています。それでも私は予定されていたのでまだ心の準備ができただけ良いほうです。緊急帝王切開になった方はもっと大変な思いをされたと思います。
↑逆子を直すポーズ。けっこうきついポーズです。37週の健診でも逆子でした。
帝王切開なんてお産じゃない?
・健康保険が適用されるから切ってもらったの?
→赤ちゃんの生命を優先するために切ってもらったのです。それに健康保険が適用され出産一時金の分が差し引かれたとしても、普通分娩より支払額は多いです。(※ただし高額医療費が適用される為、実際は同じくらいか少しだけ安いかもしれません。病院によっても違います。)
・麻酔が効いて楽でよかったね。陣痛はそんなもんじゃないよ。
→これが一番ショックです。確かに私は予定帝王切開だったので陣痛は経験していません。何時間も陣痛で苦しんだ方に比べたら楽なのかもしれません。でも腰椎麻酔ってめちゃくちゃ痛いです。副作用のひどい頭痛に苦しんだ友人もいました。それに陣痛はなくても後陣痛は普通分娩の方と同じようにあります。子宮を切っているのにその子宮が収縮するんです。私は手術当日の火がついたような傷の痛みに一睡もできませんでした。そして手術の傷は産後もしばらく痛みました。
・陣痛を経験していないんだから、おっぱいくらいは出さなきゃね。
→これはちょっとよくわかりません。陣痛と母乳って関係ないのでは?
・もうちょっと頑張れば、下から産めたのに…。
→これは緊急帝王切開のことでしょうか。緊急帝王切開は一番大変だと思います。陣痛と手術を両方経験したのに、頑張っていないはずがありません。
アンケートによると約1割が「帝王切開はお産ではないと思う」と答えたそうです。その中で、20代の女性の「お腹を痛めて産むからこそ出産だと思う」という意見がありました。帝王切開もお腹すっごく痛めます。麻酔効いてるから痛くないのは、ほんの少しの間だけです。もちろん術後も痛み止めの注射をしたり座薬を入れたりしましたが、私の場合「ものすご〜く痛い!!」が、「すっごく痛い!」になっただけでした(涙)帝王切開は下半身麻酔のみで意識のあるまま行われることが多いようですが、私の出産した病院は腰椎麻酔をした後、ガス麻酔をして意識のないまま手術が行われた為、私は産声を聞くことができず、赤ちゃんの顔を見たのも夫や両親の方が先でした。初めて抱っこができたのも出産後3時間ほどたってから(起き上がれないので抱っこと言うより添い寝)、初めての授乳も翌日の夜でした。手術の為、出産前日の夜から出産翌朝まで絶飲絶食。出産翌日の食事も重湯でした。私は新生児室に赤ちゃんを見に行くこともできず、産後すぐに赤ちゃんのお世話ができる他の普通分娩の経産婦さんがどれだけうらやましかったことかわかりません。
私は鴻鳥先生のような立派な人間ではなくただの経験者の一人なので、『帝王切開も立派なお産です』なんて偉そうなことは言えませんが、自然分娩でも帝王切開でもどんな形であれ、自分の命をかけた出産は、みんな立派なお産だと思います。
これから赤ちゃんを産む妊婦の方たちが、どうかみんな無事にご出産できますように。
ママのための帝王切開の本―産前・産後のすべてがわかる安心ガイド
- 作者: 竹内正人,横手直美,細田恭子
- 出版社/メーカー: 中央法規出版
- 発売日: 2013/08
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る